kobeniの日記

仕事・育児・推しの尊さなどについて考えています

舞台を観るのが好きです/「切実」を観てきました

早稲田どらま館でやっていた「切実」という舞台を観てきました。

男性3人のお芝居で、およそ60分の短い作品でした。シリーズで3年おきぐらいにやっているみたいですが、私は今回はじめて観に行きました。去年から、観劇にハマっていて、中でも小さめの劇場に行くのが好きなのですが、この作品は脚本が「バイプレイヤーズ」などのふじきみつ彦さんだったからと、「どらま館」に行ってみたかったこともあり、告知が始まった頃からずっと気になっていました。行こうかどうしようか迷っていると、残席ありますのツイートが流れてきた&おっさんずラブ脚本の徳尾さんが観に行かれたみたいで「おもしろかった」とツイートされていて、オンラインでサクッとチケットを取りました。

めっちゃくちゃ暑い1日だったけど、とても面白かったので行って良かったです。端的に言うと、「けっこう笑えて、旬なテーマで考えさせられる」という内容で、派手な演出とか超有名な役者さんとかはいないけれど、この内容で3000円は安い。たった1時間なのに、終わった時、もっと長いこと劇場に居たような感じがしました。

もう公演が今日で終わっているので、そこそこネタバレしますが、

子どもの登下校を見守る「見守り隊」隊員の日野さんというおっさんと、見守り隊の会長であるおっさんと、子どもを見守られている保護者のうちの一人であるおっさんが、放課後にその娘さんの誕生日会について話をする。というような内容です。日野さんはおそらく40代の、独身男性なのですが、子どもが大好きで、お誕生日会に向けて「おどるポンポコリン」をピアニカで弾く練習までしていたのに、恵里奈ちゃんだか優梨奈ちゃんだかのお父さんが、「昨今の情勢に鑑みてあなたのことはお誕生日会に呼べません」って言うんです。

 

「おっさんが3人で話をする」と書くと、バイプレイヤーズみたいに、あんまりハッキリした起承転結がない(意味を持たない)ように聞こえるかもですが、このお話は一時間の中に無駄が全くない、美しい起承転結で書かれているように感じました。前半で日野さんが一人で、会長さんを待ってる描写があるのですが、自分の汗をふいたタオルの匂いを嗅いだりしておりw 「ちょっと…」っていう感じのおっさんではあるのだが、ちっさいピンクのピアニカで「ヘビーローテーション」の練習をし出したりするので、「この人は…憎めない感じのおっさんなんだ…」と思わされます。そして後半の「お前は犯罪者の予備軍っぽいのでお誕生日会には呼べない」という話に繋がっていきます。


恵里奈ちゃんだか優梨奈ちゃんだか(名前こんなような漢字だよおそらく)のパパは、VERYで言うところの「イケダンみ」のある男性なのですが、子どもを巡る昨今の犯罪に鑑みて、

 

「実は私…見守り隊を見守っています

見守り隊を見守り隊の隊長です」

 

みたいなことを言い出します。見守り隊を見守り隊。さあどうなる恵里奈ちゃんのお誕生日会!!

 

 

 

 

全体的にコミカルなので、楽しい時間ではあるものの、テーマ的には「この、独身中年男性を雑にラベリングして差別する社会どうなの…」とか、「じゃあ実際に、近所に日野さんみたいな人がいたとして、日野さん、子どもの写真撮ってブログにあげたりして迂闊すぎるけど、悪い人じゃないよって説明してまわれるんだろうか私…」とか、いろいろ考えてしまいました。ね、「切実」でしょ。
(私、中年男性の切実さを描いた舞台って大好きなんです。赤堀雅秋さんのとかね)

 

 

ということで、「けっこう笑えて、旬なテーマで考えさせられる」私にとってはすっごい上質な一時間だったのでした。

 

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◾︎ 映画でもTVでもなく「舞台」って、何がいいのかな

 

最近、下北のスズナリや本多劇場東京芸術劇場などいろいろ行っていますが、大小問わず「舞台」が好きだなあと思い始めています。それはなぜか。


一番は、目の前で今、真剣にお芝居されると、こっちももの凄い集中力になってしまうということがあります。もしかしたらハプニングがあるかもしれない、というようなことを空間全体で予感しながら時を共有してるのでしょうか。事前に絶対にトイレ行っておかなきゃいけないな、という点だけ取っても大変なのですが、どうもその緊迫したライブ感がいちばん好きみたいです。
小さい劇場だと、当日券とか、遅めにチケットを取った場合、逆にいちばん前に通されるんですよ。私は「切実」もいちばん前の席だったのですが、役者さんと目を合わせないように、ときどき俯いてましたw でもいちばん前、楽しいです。

 

それから舞台って、TVや映画に比べて、商業的な成功をそこまで見越してない小さめの公演もあります。今日の「切実」も、たぶん円盤にはならないんじゃないかな。でも、だからこそ、「いらない(ど派手な)演出がない」です。行間読みとる力もそこそこ試されます。CMも入らないし。しかし脚本と演出と俳優陣は一流なわけです。脚本とか演出とかキャストとかで、だいたい自分好みかどうか予想できるので、「つまんなかった」「損した」と思うことがない。


映画やテレビは、原作があったり、撮影期間がずっと前だったりで、「めちゃくちゃ旬」が難しかったりすると思うけど、舞台は「なんだかすごく旬(なテーマ)」と感じることが多いです。それを、コンパクトに見せてもらえるのがとても好きなところです。

あらためて舞台ってすごいなあと思うのが、たとえば小さいステージだと、そこに「ファミレスの机と椅子」があって、「ガストで相談する話じゃないと思うけどね」の台詞が一言あるだけで、もうそこがガストにしか見えない、見えなくなるっていうことなんです。
今日の舞台も、木とベンチしかなかったんですが、私はもう学校の近くの公園でおっさん3人が放課後の見守りについて話しているようにしか見えなくて…
物語と、演出と、役者さん達の流れるようなお芝居(本当に、流れるようなお芝居だった)だけで、この何にもない空間でここまで人を引きつけることができるんだな、と、今日もしみじみ感動してしまいました。

 

 


演劇はたのしいなあと思っているので、今年から本格的な観劇ヲタになろうと思います。もちろんドラマや映画も観ますけどね。できるだけ感想を、絵や文章で、Twitterかブログに残していこうと思っています。

 

そういえば先日、中央線を待っていたら、「あの人ぜったい見たことある」という役者さんが同じ車両に乗っていました。恥ずかしくて声をかけられなかったのですが、東京にはたくさんの劇場があって、今日もたくさんの物語がつくられ、上演されてるんだよな、と思いました。観に行きたいと思った時に、今回のようにサッと行ってしまえるところが、東京に住んでいて良かったなあと、強く思うところです。

 

 

 

 

切実

 

fujikimitsuhiko.com

 

ワーキングマザー・仕事と育児に関する過去記事を時系列にまとめました

 これから親になろうという後輩や、最近あかちゃんが生まれたんです、という方に

「私は過去10年、色々な記事を書いてきたんですよ〜」と言っても、ブログには無関係な記事も混じっているし、寄稿の方に書いてしまっていて分散していることもあったりで、紹介しづらいなと思いました。

自分が過去に書いてきた文章の中で、とりわけ育児と仕事、働くママに向けた記事、かつ、時事ネタや書評のようなものを省き、今も参考になるかもしれない?というものを抜粋し、子どもの成長順に並べてみました。

あとから追加・修正するかもしれませんが、ざっとこんな感じです。

 

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【出産】

一人目が分娩時間33時間の超難産だったため、二人目は計画出産&無痛分娩にしました。その時の体験記です。

ホントに痛くなかったです!実録・無痛分娩体験記! - ゼクシィBaby 妊娠・出産・育児 みんなの体験記

 

【赤ちゃんの子育て】

体も心も忙しい産後一ヶ月の過ごし方についてです。

産後一ヶ月の過ごし方 〜ふたりめが産まれました〜 - kobeniの日記

 

【ママ友について】

 「保育園でママ友ができない…」自分のため、以外の用途で友達をつくるなんて、人生で初体験ですよね。いないとダメなの?ということについて考えた記事です。

ママ友をつくるのが苦手な人よ、お前もか - kobeniの日記

lifedoor(ライフドア) ~働くママ・パパ育児の悩みを一緒に解決~ : 「ママづきあいの苦手な私が、どうやってママ友をつくったか」 by kobeni

 

【働くママの気持ちの持ち方】

ゆるく仕事と育児の両立やっていきましょう!という記事です。

これまでで、いちばん読まれた記事です。わたしの考え方の中心はこんな感じです。

量産型ワーキングマザーでいこう | リクナビNEXTジャーナル

 

10代20代の頃は、なかなか自分に自信が持てずにいました。どうやって自分を慰めかわいがって働き続けていくか?みたいな記事です。

小さいことの積み重ねで自分を育てる ブロガー・kobeniさんの仕事観と「働く母親」観 - はたらく女性の深呼吸マガジン「りっすん」

 

家事・育児と仕事に、自分のリソースを、どういった配分で注ぐのか?どっちにも強い責任感を働かせて、疲れてしまうことってありますよね。そんな時のヒントになれば。

「責任感VS責任感」 - kobeniの日記

 

「そろそろワーキングマザー生活にも慣れてきたかな、仕事を前のような内容に戻そうかな」と思い始めた頃にどうぞ。

2016年のワーキングマザー生活を振り返る - kobeniの日記

 

センパイたちはどんな風に両立をやってきたんだろう?と思った時にどうぞ。2018年の記事です。10年間に、育児と介護の両方を経験しました。

ワーキングマザー生活10年を(割と赤裸々に)振り返る - はたらく女性の深呼吸マガジン「りっすん」

 

2015年と少し前の調査ではありますが、リクルートワークス研究所から出された調査結果です。みんなは何にストレスを感じてるのか?メタ視点で知ることで少し気持ちが楽になるかも。

「働くマザーのストレス調査報告書」を読みました - kobeniの日記

 

【育休からの職場復帰】

復職する時って、どうしても気持ちが不安定になりがち。復帰して一年経った頃に、当時を振り返って書いた記事です。焦らずのんびり行きましょう!

ストレスなく職場復帰!ゆるゆるワーキングマザー6つのコツ(前編) - kobeniの日記

ストレスなく職場復帰!ゆるゆるワーキングマザー6つのコツ(後編)&イベント告知 - kobeniの日記

 

会社ではワーキングマザー第一号だったりして、まだまだ「働きにくいな…」と感じるお母さんもいるかもしれません。そんな方を応援する記事です。

ワーキングマザーが「私が悪いのかな……」から脱却するまで | リクナビNEXTジャーナル

ワーキングマザーが「私が悪い」から抜けるために、本人と周囲ができること | リクナビNEXTジャーナル

 

【習い事(保育園&幼稚園期)】

未就学児に習い事をさせる難しさなどについて書いています。

いつも挫折と紙一重?!子どもが習い事を「ただ、続ける」ことの難しさ[前編] by kobeni - ゼクシィBaby 妊娠・出産・育児 みんなの体験記 

「習い事」練習はイヤ!でもやめたくない。どう理解して、接していけばいい?[後編] by kobeni - ゼクシィBaby 妊娠・出産・育児 みんなの体験記

 

【育児に必要なお買い物】

絵本と児童書のおすすめです。(2,3歳〜小学校低学年)

好きな絵本と児童書の紹介とかしちゃいます - kobeniの日記

今なお冬になるとアクセスの増える記事w 古くてごめんなさい。80サイズぐらいの、フードがない&取り外せるアウターを探せ!という記事です。

2011年版・保育園(幼稚園)で必要な「フードなし・外せるアウター」を探せ!まとめ - kobeniの日記

 

 

【ママの仕事復帰】

子育てから、しばらくブランクがあったけど…できるかな?でも働いてみたいかも…とか思った時にどうぞ。

仕事って、「誰かの力になれる」こと。ママが働くきっかけはなんでもいい│タウンワークマガジン

 

みなさんに「仕事復帰にあたっての不安」を聞いてみて、3つに分けて考えてみたコラムです。

「子どもが小学生になったら、私、また働けるかな?」~ブランク・スキルの悩み編~│タウンワークマガジン

「子どもが小学生になったら、私、また働けるかな?」~子育てしながら働く環境への不安編~│タウンワークマガジン

「子どもが小学生になったら、私、また働けるかな?」〜ママたちの不安“夫の協力が得られるか”について考える〜│タウンワークマガジン

 

 【小一の壁】

噂には聞いているが実際どうなんだ、小一の壁! 体験してみて乗り越える方法を考えました。

入学後にそびえ立つ「小1の壁」、ワーキングマザーはどう立ち向かう? | リクナビNEXTジャーナル

「小1の壁」を取り巻く、企業・地域・家庭・PTAに変わってほしいなと思うこと | リクナビNEXTジャーナル

「小1の壁」と在宅勤務 ―― 仕事を「子どもが過ごす場所」に近づける | リクナビNEXTジャーナル

 

【子育ての中での悩みや疑問にこたえる】

子どもが巣立ったあとの「空の巣症候群」について考えてみたコラムです。

いつかくる巣立ちの日、その時「私」を見失わないために 〜空の巣症候群について考えた〜 by kobeni - ゼクシィBaby 妊娠・出産・育児 みんなの体験記

 

 

【共働き夫婦がうまくやっていくためのコツ】

二人で稼ぎ、二人で家事や育児をこなすには、お互いをいたわる気持ちが大事です。しかし、なかなか難しい… 夫婦円満に暮らしていくためのコツを考えました。

夫婦ゲンカが増えたので、「コーチング」を受けてきた - kobeniの日記

共働きの夫婦ゲンカはなぜ起きる? 夫婦コーチング平田さんインタビュー(前編) - kobeniの日記

共働きの夫婦ゲンカはなぜ起きる? 夫婦コーチング平田さんインタビュー(後編) - kobeniの日記

【逃げ恥に学ぶ】共働き夫婦がうまくやっていくためのヒント│#タウンワークマガジ

 

【子育てエッセイ】

意見ではないが、感じたこと。などを書いているエッセイです。育児に関係のないものも混じっていますが、息抜きに「ふうん」といい気分になれるようなものを目指して書きました。

随想 カテゴリーの記事一覧 - kobeniの日記

 

他にもいろんな記事がありますので、ブログについては過去記事を、寄稿については「プロフィール」欄をご覧ください^^

 

 

 

惨劇は起きない 〜「リバーズ・エッジ」/「流山ブルーバード」〜

実家の冷蔵庫にはいつも牛乳が入っている。牛乳の賞味期限は意外と短く一週間程度だ。シチューなどの料理にも使えるしコーヒーに入れてカフェオレにもできるし、ケーキなどのお菓子づくりにも使う。

実家暮らしだと、冷蔵庫に飲み物が牛乳しかないことがある。だから喉が乾くと仕方なく牛乳を取り出してラッパ飲みをする。兄が飲んだその牛乳パックから、直に弟も飲む。家族が不在がちだと牛乳は冷蔵庫の中ですぐに腐る。その家の人々の暮らしを、紙パックの牛乳は映している。

 

昨年末に、下北沢の本多劇場で「流山ブルーバード」という舞台を観た。流山市という平凡な地方都市で生まれ育ち、そこから出られない閉塞感に苛立ちながらも毎日をやり過ごす男たちの話。主人公の満(賀来賢人)の兄・国男(皆川猿時)は、両親の魚屋を継いでおり毎朝5時起きで市場へ出かける。弟は、同じ街に住む自らの親友の妻と長らく不倫しており、女を知らず何年も魚屋の店先に立ち続ける兄を馬鹿にしている。そんな二人はひとつ屋根の下、冷蔵庫の同じ紙パックの牛乳を共有している。

 

「郊外の、特徴があるともないともつかない街における群像劇」という設定からか、舞台を観終わった時に私は、漫画「リバーズ・エッジ」(岡崎京子作、1994)のことを思い出していた。先日、映画になった「リバーズ・エッジ」を観て、さらにこの二作の類似点や相違点について想いを馳せた。

映画版「リバーズ・エッジ」には、登場人物(そのほとんどが高校生の子どもたち)がそれぞれに牛乳を飲む姿を象徴的に繋いだシーンがあった。過食嘔吐を繰り返すモデルの吉川こずえは、大量のジャンクフードと共に新鮮な牛乳をラッパ飲みする。首筋にダラダラと雫が垂れ、いくつも白い線をつける。親から関心を持たれずひとり自宅に放置されている観音崎は、冷蔵庫で空のままの牛乳パックに苛立ち、流しに投げつける。援助交際を繰り返すルミは、お菓子を作ろうと牛乳を探すが、自室に引き篭もっている姉がココアの粉を大量に入れて飲み干しており激怒する。姉は驚きその牛乳を自作のBL漫画の上に溢す。姉はときどきルミの日記を盗み見ており、ルミは、男を知らない姉の描くBL漫画を馬鹿にしている。

 

リバーズ・エッジ」をはじめて読んだのは高校生の時だった。その頃の自分がこの漫画をどう受け止めたのか、正確には覚えていない。ただ、「ここには本当のことが書いてある」と思った。死体を見ることで自分がやっと「生きている」と感じることができる。他の何にも悲しみを感じないのに、学校でこっそり可愛がっていた子猫が殺された時にはボロボロと涙が出る。そういうエピソードを私は驚きと共感を持って受け入れた。薬も援助交際もやっていない、学校行事もそれなりにエンジョイする地方の平凡な高校生だった私だが、それでも「ああ、私の毎日ってやっぱり戦場なんだ。『平坦な戦場』なんだ…」と、目が覚めるような思いがした。

高校生の頃に制服がセーラー服だったと言うと、「いいなー!着たかった」と言われることがある。だが私は「早く脱ぎ捨てたい」と思っていたことを覚えている。自分が着たいと思う服を着られない、自宅の壁が薄い部屋に暮らすしかなくプライベートがろくに守られない。毎日行くべき場所は学校しかないが、そこに本音を言える友達もあまりいない。本音で話せば「なにマジになってんの」と、笑い飛ばされてしまうだろうから。

「この街からどこへも行けない」ことへの苛立ちを、「リバーズ・エッジ」を読むとかろうじて思い出すことができる(もう地元の街を出て20年は経っているから。正直、「前世ぐらい前」という印象なのだ)。

 

「街そのものが、どこへも行けない密室」かつ「壁の薄い部屋の集合体」の中で、「リバーズ・エッジ」では、風船が弾けるように惨劇が起きる。ちょっと過剰サービスなんじゃないか、というぐらい、次々に起きる。ルミは父親のわからない子を妊娠してしまう。そのことに苛立つルミに「お前のことなんか誰も愛してない」と言われ、観音崎はルミの首を締めて殺してしまう(後に死には至らなかったことがわかるのだが)。日記を盗み見た姉にルミが逆上し、暴言を吐いたことでカッターで刺され、宿していた子どもを堕胎する。田島カンナがハルナの家に放火しようとして自らに火をつけてしまうーー

 

 

 

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 映画版「リバーズ・エッジ」では、モデルの吉川こずえ役を、あのCHARAの娘のSumireが演じています

 

 

一方「流山ブルーバード」では、何も「パチンと弾け」ない。惨劇が起きる寸前で不発に終わる。赤堀雅秋の作品はいつもそうだ。場末のスナックで、何もない空き地で、薄汚いラブホテルで、ガストの片隅で。我々が生きている中で時折感じる小さくも不穏なエピソードが重なっていき、刃傷沙汰になりそうな寸前で終わる。決闘めいた物語のクライマックスがあってもどちらも死なないし、登場人物が話の終わりに明確に何かを悟ったりはしない。大人になった私にとってはこのように、惨劇が「起きない」方がもちろんリアルだ。ただ、ルミを殺してしまった(と勘違いし、時間が経ったのちの)観音崎のスッキリした笑顔を思い出すと、むしろ「パチンと弾けさせ登場人物たちの目を覚まさせようとした」岡崎京子に対して、優しさすら感じてしまう。現実の世界では、何の不穏がどう連鎖しているのか、漫画や舞台のようにはわからないし、基本的には「何も弾けない」。自らの人生について決定的なことを何ひとつ起こせない登場人物たちは正直、無様だ。私はその無様さ、馬鹿さ惨めさを観るのが癖になってしまったらしく、去年は赤堀雅秋の舞台を二度も観に行った。「流山ブルーバード」を観た後も、「今回も情けなくて不完全燃焼で、最高だった」という気持ちで大変満足し、本多劇場(岡崎京子の生まれ育った下北沢にある)を後にしたのだった。

 

 

 

子を持つ親になった今「リバーズ・エッジ」を観ると、大人が、子どもたちを愛さないことによって、社会が、責任を果たさないことによって、子どもたちが知らず知らず深く傷つけ合っている…ように見える。全ての悲しみや怒りや寂しさは、別々に存在しているように見えて実は繋がっており、その発端には大人の不在があるような気がしてくる。そういえば漫画「リバーズ・エッジ」が出版されたのと全く同時期に、エヴァンゲリオンが社会現象になっていたんだっけ。そこで「アダルトチルドレン」という言葉が、大変持て囃されたのではなかったか。

 

「流山ブルーバード」に出てくるのは基本的には大人たちだ。毎日同じで退屈だと宣うスナックのママは、刺激を求めて風俗のバイトを始める。ダラダラと不倫を続けている満は、親友の妻である美咲に「一緒に沖縄へ逃げよう」と約束するが、翌日あっさり約束を反故にしまた魚屋を手伝っている。魚屋の隣に住む順子は、魚屋に苦情を述べに来たついでに宇宙の真理を解き兄の国男を宗教に勧誘する。その彼女を疎ましがる弟を、兄は諭す。「知らないのか?あの人はお子さんを亡くして一人になってから、ああなんだ。みんな、寂しいから、おかしくなる!!」

リバーズ・エッジ」の子どもたちの隣に、こういう大人たちが暮らしているんだとしたら、と思う。用を足す音が居間に聴こえてしまうような薄い壁の「実家」で。大人たちもそれぞれ、何もかもが不確かな現実に戸惑い、不安や寂しさばかり感じていて、でもそのことに向き合うのは恐ろしいから、目の前の家族や自分自身のことじゃなく「宇宙の真理」について想いを馳せてしまう。「こんなはずじゃなかった、ずっとこの街にいるつもりはなかった」。でも、じゃあ、どんな自分なら許せたのか? ほんとうにこの街から出て行きたかったのか……?

 

リバーズ・エッジ」を観た10代の友人(Twitterで知り合った)が、「ルミのピアスがノンホールピアスだった」と教えてくれた。自暴自棄に男たちと関係を持ち続けているくせに、ピアスの穴も開けられない臆病さが気になったのだと言う。

そういえば、赤堀作品では舞台上でほぼ全ての登場人物が煙草を吸うのだが(たぶん、何かにつけ「うまく言葉にできない」ことを表しているのだろう)、「流山ブルーバード」の主人公の満は、ずっとiqosを吸っていた。なぜ彼ひとりだけ電子タバコなんだろう。しかしノンホールピアスもiqosも、自暴自棄や虚無感といった感情に「飲まれきることができない、中途半端に残る自己愛」をとても上手く表しているように思う。

映画を通して久しぶりに会ったルミや観音崎のことを、私はとても愛おしく感じた。臆病で小さくて健気なお馬鹿さんたち。流山で燻っている満達にも、同じような愛おしさを感じた。人間ってクズで馬鹿で小さくて哀しくてワガママで一生懸命で本当に…かわいいな。私もきっと、UFOから見たら、このぐらいショボくて無様なんだろうなあ……。

 

 

「流山ブルーバード」は他の赤堀作品に比べてかなりポジティブに終わる(と私は思っている)。映画版「リバーズ・エッジ」もそうだ。

1994年に「リバーズ・エッジ」が出版された時、「いま子どもたちが生きているのは平坦な戦場である」と言ってくれる人は他にいなかった。だから「救い」めいたものは当時の私には別に不要だった。ここを「戦場だ」と言い、パチンと惨劇を起こして見せてくれたことで、私は多くのことに気づいたように思う。

今の私たちはもう、惨劇について大きいものから小さいものまで見過ぎた後じゃないだろうか。9.11も3.11も経験し、今は2018年だ。あの頃には名前のついていなかった子どもたちの苦しみには「メンヘラ」「DQN」「中二病」などの名前がつき、それによって楽になった部分もあれば、逆にますます「誰にも言えない」と感じている子どもたちもいるかもしれない。

だから今はきっと、ポジティブな終わりが求められている。「救いw」とか言っていてはいけない。両作品とも、不確かな現実を見せつけるだけでなく、戦場でなんとか生き延びるための、手がかりを見せようと真摯につくられていると感じた。

そのあたりはぜひ、両作品をご覧になって確かめてみてほしいと思う。

 

 

 

「流山ブルーバード」が、衛星劇場にて初放送されるそうです。4/8  16時〜

http://www.eigeki.com/series?action=index&id=16249&category_id=7

 

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映画「リバーズ・エッジ」まだ公開中の劇場もあります

映画『リバーズ・エッジ』公式サイト | 公開中!

 

原作「リバーズ・エッジ」もぜひ。映画公開に合わせて各種評論本も出ています

 

リバーズ・エッジ オリジナル復刻版

リバーズ・エッジ オリジナル復刻版

 

 

エッジ・オブ・リバーズ・エッジ―<岡崎京子>を捜す

エッジ・オブ・リバーズ・エッジ―<岡崎京子>を捜す

 

 

文學界2018年3月号

文學界2018年3月号

 

 

 

 

 

 

 

 

同人誌『2017年テレビドラマ放談』に寄稿しました!通販のおしらせ

皆さん、ドラマは好きですか?

 

私は2017年に役者さんのファンになってから、これまであまり観ることのなかった日本のドラマを、たくさん観るようになりました。別に嫌いだったわけではなくて、子育てをしているとドラマの時間がちょうど寝かしつけの時間と重なるため、なんとなく遠ざかっていただけなのです。最近子育てがひと段落してきたため、時間がとりやすくなったこともあり、今ではクールの初めに「今期観るべきドラマ!」を探すべくひと通り初回チェックまでするようになりました。

私が大好きな役者は堺雅人さんで、真田丸をきっかけにファンになりました。2017年は彼の過去出演作を遡って一年が終わりました。気がつくと映画とドラマで30作近く観ていました。そしてそのたびに「最高か…!!」と滾りまくり、ちょうど購入したばかりでハマっていてiPad proで絵を描きまくり、pixivに上げておりました。気持ち悪いですね…Twitter堺雅人ファンアカウントもつくりました。自分の周囲を見ていても、別アカを作ったらガチだなと思います。

2017年は、真田丸ロスも冷めやらぬ頃に「カルテット」が始まり、ドラマ好きにはとても嬉しい一年でした。そんな中、元々、ドラマヲチャーで私の同人仲間でもある、こへださん(@koeda)が、年末のコミケでドラマ本を出そうかなというので、意気揚々と参加させて頂きました。そして今回、通販を始めますのでお知らせします。

 

そもそもできたてほやほやのサークルですし、冊数もそこまでたくさん刷っていません。なので通販の委託も難しいため、私が個人通販で販売します!

 

 

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綾瀬はるかの厄除け力から、「フツーー」が上手すぎる千葉雄大の謎まで

11のコラムがあるのですが、ドラマの定型について・ドラマや俳優について配信する某webメディアの特徴について・役者さんの個別の魅力についてなど、バラエティに富んだ内容となっています!皆さん、自分の「好き」について語っているので妙に饒舌で、お世辞抜きにおもしろい一冊になってます。

冒頭、「モデルプレス」(ドラマの放映後に記事を流しがちなwebメディアです)はなぜそんなに「悶絶」しているのか という文章が載っているのですが、確かにモデルプレスは毎回、「長澤まさみの美くびれに悶絶」みたいな見出しが多いですよねw 月に何回「悶絶見出し」を使用しているか、そもそもなぜ「悶絶」見出しが多いのかを真剣に分析した記事になってますww そしてそのモデルプレス文体を使って、歌丸師匠退院のニュースを書いたらどうなるのか?の再現までされています。歌丸師匠の美つむじに悶絶。

千葉雄大くんって、歌番組のMCをやっていたこともあるんですね。私は「わろてんか」みたいなドラマでしか観たことがないのですが。その、彼のフシギについて書かれたコラムも。そういえば最近、「どんな歌もCHARA風に歌う」千葉雄大くんの動画を観ました。何者なんでしょうか、あの人。

さいきん高い視聴率を誇りがちなドラマは、「水戸黄門型」であるという分析のコラムもあります。ドクターXとか、陸王とか。池井戸潤作品はだいたい、水戸黄門型だとか。どういう法則が視聴者の溜飲を下げているのか。あと、意外なあの作品も水戸黄門型。気になるでしょ?倍返しだ!

その他にも、あの俳優さんの眼がいいよね、大島優子の演技力、不遇なジャニーズJr.、最近の刑事モノの犯人傾向…などなど、盛りだくさんの内容になってます^^

 

↓こちらが目次です!

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■ 「堺雅人のどこがそんなに好きなんですか?」に5000字で答えます

 

さて私は今回、二本寄稿をしてまして、ひとつは「堺さんのどこが好きなの?」について説明しています。よく聞かれるんですよね。気がつくと1時間弱で5000文字書いてました。好きなものについて語るのってラクですね…… 

そもそも「特定の役者さんのファンになる」という経験が初めてで、作品も思想も何もかもファンです!という人はこれまで小沢健二しかいなかったのですが、今や堺さんについても、お芝居だけでなく彼にまつわるエピソードの全てが好きです。いや、むしろその周辺のエピソードがおかしくて、首をかしげざるを得ない面倒くささや逸材感があり、さらに私のツボである「可愛い文学青年み」を携えているのです!そのあたりを詳しく書いてみました。倍返しとは真逆の堺雅人本人の魅力に気づいてくれる人が、ひとりでも増えたら嬉しいです。

 

 

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■ 「半沢直樹リーガル・ハイしか観てないんですが」にマトリクスで答えます

 

2017年は、気が付いたら30本弱の出演作を観てた。と書いたのですが、それを何かしらの方法で整理したら楽しそうだな、とずっと思っていました。「半沢直樹ぐらいしか観てないんですけど、次に何を観たらいいんでしょう」もよく言われるのですが、過去を遡っていくと、堺さんって半沢みたいなハキハキキャラは新しめで、もうちょっとふんわりした「ヘタレ」みたいな役柄も色々やっているんです。「カメレオン俳優」と言われることが多く、いろんな顔が観られるので、「二面性のある役」「強くてカッコいい役」「繊細で傷つきやすい役」みたいに、それぞれの好みの堺雅人作品を見つけやすくしたいな、と思ったんですよね。

キャラをマトリクスにまとめる時に、ポイントになるのは「本人がどんなイメージを仮託されやすいか」と、「世の中がどんな男性像を求めているか」かなあと思いました。なので、ざっくり横軸と縦軸をそういった観点で作成しています。(具体的には「板チョコきっちり割りそうか、豪快に割りそうか」/「何か成し遂げてるか、そうでもないか」というバカバカしい軸名称になっていますが、理由はぜひ本誌でご覧ください)

そうしたらですね、「過去が影をつくる男」「いい人止まりのエンジェル」「ロマンチスト(たまにいい声で怒鳴る)」「母性本能くすぐる系」四象限になりました。気になる象限、ありますか? しかも作成してみて気づいたのですが、たとえば「過去が影をつくる男」のところは、二次創作が多いキャラが集まっていました。そして「ロマンチスト」のところは、恋人を「お前」って呼ぶキャラが集まっていましたね。そういう風に、ちょっとした(アマチュアの)社会学とかジェンダー的観点含め、各象限のキャラの魅力を解説してます。「やばいこの象限、性癖」みたいなのがあると、嬉しいんだけど…!

 

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「ほしい」と思ってくださった方は、下記BOOTHからお申込みください!

できたてほやほやサークルですので、冊数はそこまで刷っていません。売り切れたら終わりになっちゃいますので、お早めに。

 あとBOOTHって、クリエイターを応援する!という形で100円とかお金を上乗せできるんですよ!しゅごい!なんだかんだ言っても課金して頂けるのがいちばん嬉しいですよね作り手としては。もし、良かったら、どうぞ~

 

 

 

※前払いの仕組みになっています。コンビニ・銀行振込みでも入金後の発送になりますのでご了承ください。

※発送ですが、私が自力で梱包するため、どうしてもお時間がかかってしまいます。注文後1-1.5週間は見て頂けると嬉しいです。「まだ?」というご連絡はboothからメッセージをくださればお返事致します。

 

kobenibooth.booth.pm

 

『2017年テレビドラマ放談』

サークル名:超山椒魚(super salamander)

サイズ:B5、60P

価格:500円(各種クレジットカードやコンビニ決済が使えます)詳しくはこちら

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Etsyで世界を旅しよう vol.3 買い方のコツ/インドのカンタ・ビンテージやアンティークを買う

Etsyでお買い物するのが好き、と以前にブログに書いたのですが、さいきんサラハ(質問箱みたいなやつ)で、「もっとEtsyでおすすめの国やお店を教えて」とよく言われるので、また久しぶりに書いてみようと思います。

ちなみに以前はお買い物ブログもやっていたのですが、最近はinstaの方に買ったものをUPすることが多いです。

過去の物欲ブログはこちら 

たかが物欲 by kobeni

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最初に、Etsyの使い方のコツをちょっと説明してから、最近のおすすめを紹介したいと思います。

 

 

■ Etsyは「検索」にコツがいるのです

 

Etsyって膨大な量のお店がある上に、「人気のショップ順」「人気商品順」みたいな並べ替えができないんですよね。だから、自分が欲しいものを見つけるためには、検索やキュレーションを駆使する必要があるんです…。

私の場合は、「Etsyのおすすめ」のお店をお気に入りにしておいて、そこのショップを中心に見ることが多いです。お気に入りショップの新着情報をレコメンドしてくれるようになるので。検索履歴から類似の商品をレコメンドしてくれたりもします。とにかく商品やお店をたくさんお気に入りにすることで、好みの商品が見つかりやすくなります。

 

あとは目的に適したキーワードをうまく見つけて、英語で入力するようにしています。

たとえば(いちばん下にリンクを貼っていますが)かわいい手編みの手袋を探していた時は、キーワードに「nordic mitten」と入れるとうまく探せると気がつきました。そうやって検索していたら、ラトビアのお店がしょっちゅう引っかかってきたので、国を指定して検索もするようになりました。(※PCサイトでは、ショップの所在地で、国を指定して検索することができるんです)

 

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「検索」の詳細画面の左サイドバーで細かく指定できます。

最近、日本語訳にも対応が進んで、検索や購入はとてもしやすくなりました。

 

■ でも、送料がお高いんでしょう…?

 

海外から買い物するわけなので、送料が加わって高くつくのでは?という疑問があるかと思います。確かに、送料は500円~3000円くらいまで幅がありますが、高いなあと思うこともあります。特にUSから買うとけっこう高いです。

ですがお店によっては、送料を高くすることで利益を出しているところもあるようです。なので、送料込の金額で、購入する価値があるか判断した方がよいと思います。

東欧とかアジア方面は意外と安かったりします。1000円しなかったりとか。

あと、そもそもEtsyでお買い物をするということは、エアメールをもらう喜びと同じというか、海外から小包が届く楽しさも含めたショッピングなんです。あんまり見慣れない切手やメッセージカードと合わせて商品なんだよね、と思っています。

 

https://www.instagram.com/p/BNtDQahgcrp/

 

私はもともと、海外旅行へ行ったらその地の雑誌を買ってきて、買うことが難しい雑貨などをただ眺めているのが大好きでした。なので、Etsyをずっと眺めていても飽きないし、それを英語が話せなくても購入できるなんて、夢のようだ…と思っているのでした。

ちなみに購入は、私はPaypalとクレジットカードを連携してPaypalで購入しています。日本円でいくらか?もキチンと表示されるので、ラクチンですよ。

 

■ というわけで、最近買った&探したキーワードと商品を紹介します

 

-インドのカンタ(kantha)

インドのベンガル地方かな?伝統工芸でカンタというキルティングがあるらしく。お針子みたいにチクチク縫われた跡がかわいいなあと思って、いろいろ検索してました。

kantha quitsって検索してみてください。

 

 

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Queen Size Reversible Cotton kantha Quilt Sari Throw Ralli

 

 

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Indian Handmade sari throw Kantha Quilt Bedspread Throw Cotton

 

もともと、古い布をつなぎ合わせてつくるものだったらしく、パッチワーク風になっているものも多いです。都内のシャレオツなインテリアショップで2万ぐらいで売ってそうじゃない?こういうの。ボッてるなーと思いますね、ああいうの…。Etsyで買った方が安いですよ。

 

 

https://www.instagram.com/p/BYwa_vGlyve/

 私が買ったのはこのフクロウの柄のです。猫がソファをバリバリするので、うちには布が必要なんです…。

「カンタ」=刺す、という意味らしいです。ざっくり縫った跡がすごくかわいいですね。

 

■ ビンテージ・アンティークも買える

「東京蚤の市」に行くのが好きなんですが、Etsyは「ビンテージ」の商品もたくさん売っています。悩んじゃってあんまり買えてないのですが、ダラダラ検索してみたりはしています。

 

検索の際に絞り込みで「ビンテージ」を選択して、その上でたとえば「Arabia」とか「mid century pottery」とか検索すると、素敵なビンテージショップがひっかかるので、そのお店を見たりとか。

 

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Vintage Arabia of Finland HARLEKIN Coffe Cup with Saucer

アラビアまで有名じゃなくても、味のあるデザインをしている人って実はたくさんいるみたいですね。そういう人を探り当てるのもまた楽しいですし。

 

 

 

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Black Feather Fascinator Hat Vintage 1950s Holt Renfrew

50年代のヘッドドレスとか。

買ってみたいですよね~。素敵。

 

 

いつも2つずつ紹介するので、今回はこんなところで。また気が向いたら書きますね!Etsyを見ていて、いちばん「世界を旅してる」気分になれるのは、やっぱり伝統工芸品を探り当てた時。なので「どうやって着るの…」みたいなものも含めて、その地のお祭りの衣装とかを見るのがいちばん好きだったりします。こういうのとか。

 

Bohemian Bridal Necklace White Fringe Collar Handmade

 

 

 

以前書いた記事はこちら。

kobeni.hatenablog.jp

kobeni.hatenablog.jp

 

手袋について、実際にEtsyの方でつくったリストはこちらです。商品に直接アクセスできます。

www.etsy.com

 

私は↑の黒いお花の手袋をこのお店で買いました。

Etsy の Hand knit clothes and accessories knitted by JolantaKnit

 

「婚外恋愛」と「1122」のはなし

 

「婚外恋愛」っていうドラマがありまして、ひとり鑑賞会を行っていたのですが、無事に最終回を迎えまして、誰かに感想を言いたくて言いたくて震えているので久々にブログを書きます。

そもそもこのドラマ、2002年にテレビ朝日系列で放映されていたもので、DVD化などもされていません。私は当時の録画をお持ちの方から頂きました。出演者に不祥事があったとかで、再放送もされてないみたいです。主演は、永作博美(当時31歳)と堺雅人(当時28歳)。あ、まず大前提として私が堺雅人の重度のファンなので、それを前提に読んでもらえたらと思います。だからこのドラマ、主演が先の二人じゃなかったら、私がどれだけハマったかは未知数…未知数ですごめんなさい。でもね、そもそもね、俳優としては遅咲きの堺さん(新選組!でのブレイクが2004年、その時既に30越えてる)を、ほぼ実年齢の役で、主演に抜擢してくれた目利きのスタッフと事務所の力wにもう、感謝しかない。ありがとう田辺エージェンシー。永作さんも、今も大変な美人ですが当時はもう眩しすぎて可愛くて私が結婚したい、永作さんと。

どうして当時観てなかったのかな?と考えたのですが、私この頃に就職したばっかりで、結婚にリアリティとか全くなかった。まして婚外恋愛など!というか、そもそも自分がこのドラマの主人公のように、夜の22時くらいまで働いていたので、放映時間だった木曜日21時に家に帰れておりませんでしたww 

職業の設定とか、二人の住んでるマンションや出てくるバーなどが今見ても割とオシャレなこと等を考えると、トレンディドラマの残り香がある作品なんだなと思います(私も夜中まで働いてましたが全くトレンディではなかった)。

 

何が良いかって単純に、今の自分の理想にかなり近い夫婦を、15年前に自分の推しが演ってたという…その…奇跡に尽きる!!だからこれが堺雅人主演じゃなかったら私は(ry くどい!

まあいいや、ちょっとこの夫婦について説明しますね。

 

湯浅みつる 30歳。女性ファッション誌「アバンティ」の編集者。仕事が好きで、いつも夜遅くまで働いている。会社では既に中堅社員、そろそろデスクに?という年齢だが、「仕事のためならおっさんの接待でもなんでもする」というがっついたスタンスのため、後輩女子たちに「ついていけない」と思われている。お姑さんとおりあいが悪い。

 湯浅拓也(タク)28歳。プジョー中目黒店(!)に勤める外車ディーラー。出世欲がないせいか、たまにパワハラ気味の上司に「やる気あんのか」「やめちまえ」とか言われている。妻のみつるの仕事を尊重した結果、前職を辞めた経験がある。趣味は飛行機の模型をつくる&部屋で観葉植物を育てること。エプロンが似合う。

 

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ね、いいでしょ!?良くない? 二人の出会いはスキーサークル的なもののようです。プジョーの車に乗って想い出のスキー場に行ったりしている。フーぅ、トレンディ☆堺さん本当は当時、免許も持ってないはずだしスキーも全く滑れないはずだけど!

 

現代ではあまり珍しくなくなった、「夫の方が家庭的」という夫婦像なのですが、当時はまだ全くメジャーではなかったんじゃないかなあ。だって、15年前ですからね。私は堺さんの中性的なところが好きで(というか、そこを嗅ぎ取って)ファンになったのですが、この時点で彼にこの役が来るということは、昔からそういうイメージの人だったんだなあ、私が知らなかっただけで。半沢直樹・リーガルハイ・真田丸の印象から入った私には、とても新鮮なのでした。

 

15年も前なので、ジェンダーロール(一般的な夫婦像)に逆らって生きるこの夫婦には、今より風当りが強いです。象徴的なのがお姑さんで、気まぐれに二人の家にやってきて「どうして子どもをつくらないのか。なぜ家にもっと早く帰らないのか。息子のためにキチンと栄養のある料理を出してやってくれ」とか言ったりします。困るよね…気まぐれに来ないでほしいw

みつるは毎日遅くまで働いて、夫に家事を任せていることにどこか罪悪感があり、お姑さんにも反論しません。まあ、仕事ばっかりしていると夫婦はすれ違いになりがちですよね(身に覚えが…)。そんなこんなでこの夫婦はセックスレス…というところから物語が始まります。(wikipedia見ると一番上に「セックスレスの夫婦を描いたラブコメディ」って書いてあるんですが、コメディ要素はまったく無かった気がしている)

 

何が「婚外恋愛」か、という話なのですが、タクにですね、急接近してくる女性が登場するのです。志津香(釈由美子)っていう。実はタクのことを学生時代から好きで、ストーカー的に接近し、今の得意技はオーバードーズ、っていう困ったちゃん。この人の夫が謎の会合に参加していて、そこでは夫婦の取り換えパーリー的なものが行われているという、ちょっとこのあたりアレな設定なので割愛します。いや、この辺は割とどうでもよくてさ……

 

さすがはドラマ、よくおわかりで!と思うのは、二人に近づいてくる恋人候補が「今の夫/妻と正反対」っていうところなんですよね。タクには、しっかり者で甘え下手なみつるとは正反対の、お人形さんみたいで震えがちな志津香が。彼女は専業主婦で、いわゆる「かごの中の鳥(実際に鳥飼ってる)」。みつるには、自由奔放でワイルドみある元カレの亮馬(原田龍二)がスペインから帰国wして近づいてきます。「俺について来い!(実際にスペインに連れて行こうとする)」系。ものすごくベタな展開なはずなのに、たいへん夢中になって観ていた私…バカなのか……いや、だがしかしこの4人の設定、実は凄く練られている気もする!妻にあまり頼られたことのないタクに、頼りすぎる志津香!仕事を失うとアイデンティティが崩壊しかねないみつるの職場でのピンチに、仕事込みで助け舟を出そうとする亮馬!!

 

タクは基本的にずっと「みつるが大好き」「やりなおしたい」というスタンスなのですが(最高か)、「優しすぎる(byみつる)」ため志津香をハッキリ振ることができません。8話ぐらいでタクが「そりゃ正直、『(志津香)に頼られて嬉しい』っていう気持ちはあったよ。だって、みつるはほら、あんなだし」と親友に打ち明けており、私は「な、な、ナンダトーーー!!!!」と夜中にコタツをひっくり返しそうになりました。うう…一人で生きていけるように頑張ってきた結果、男にモテなくなるなんて…心当たりがありすぎる!タクのバカ!!

 

まあでも、先に書いたように、「いわゆる夫婦像」とはちょっと違うDINKS夫婦だからこそ、自分たちで考えていかなければならず、二人はいつもちょっと自信がない。「こんなに仕事ばっかしてて、夫をほったらかしにしてきた私が、彼を縛る権利なんかあるんだろうか」。「妻の元カレが仕事相手になってしまったけど、彼女は仕事がとても好きだし、『会うな』とは言えないよね」。後半クライマックスを迎えるのですが、「結婚は、どのくらい相手を、精神的に・物理的に縛ることができるのか」とか、「人は、何人の人を責任もって大事にすることができるのか」「子は『かすがい』なのか否か」みたいな、普遍的なテーマに近づいていきます…

途中、みつるの「それじゃまるで(あなたが)恋してるみたいじゃない!」というセリフに対して、タクが「(図星……)」という表情をするシーンがあるのですが(冷静に見るとけっこう笑える)、結婚していようと相手の恋心を消すことはできないですよねえ。私は、人間が複数の人を同時に好きになることは「余裕でできる」と思っているのですが、だからこそ、結婚というルールが意外と大事なのかもと思います。二人はある意味、外で別の恋人を助けたり、助けられたりもしていて、でもだからといって「一番」が入れ替わることはない。全編通して、お互いを手放してはまた追いかけたりする二人を見ていて、「適度に自由で、適度に縛りあってることが結婚の良さ」でもあるなあ、とか思いました。

 

 

オープニング映像がとても良くて、幸せな新婚生活~出会ったきっかけまでを、逆回転で遡るムービーになっている(これだけは、探せばネットの海のどこかで観られるかも…?)。3~7話ぐらいまで、ちょっとしたすれ違いがどんどん重なり、別れ話も出るようになる中で、流れるオープニング映像がこの「結婚式のなれ初めムービー」みたいなやつ。回を経るごとに「こ…こんな素敵な出会いと結婚をした二人だったのに…どうしてこうなった」と、胸の痛みが増すようになってくるんですよw。そして、しかも、驚くことに、9話で順序が!!出会い~結婚まで正しい順番に戻るんですよ!!すごい!!もちろんドラマ本編とリンクしているんですけどね!!!!ああ、すいません。興奮してしまいました。もう観られないドラマだって言ってるのに……

まあさ…結婚っていうのは、歴史だよね。唯一無二の、二人の人生のちいさなムービーだよね…………(号泣

 

 

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とまあ、色々書いてきましたが私が最も言いたいこと、それは推しが可愛い」。たぶんこのドラマの影響で観葉植物、というか苔を育てることにハマってしまった堺雅人が可愛い。「みつるは、仕事の話している時がいちばんイキイキしてるな」って笑顔で言ってくれて、自分の母親にも「みつるは編集の仕事ずっと頑張ってきたんだよ、そんな言い方するな!」って怒ってくれて、みつるが仕事辞めざるを得なくなった時に転職先を一緒に探してくれるタクが可愛い。そんで元カレの方が自分よりもしっかりした仕事のツテを持ってきたら、みつるの人生を考えれば…って身を引こうとするバカなタクが可愛い。(←すっごい強調してしまった…)堺さんと永作さんのファンには観てほしいから、いつか再放送でもしてくれたらいいのに…と、すごく思います。

最終的には、良い感じにハッピーエンドで終わります。連続ドラマの視聴者、既婚主婦層がいちばん多いからねえ(突然のマーケティング脳)。私も二人の絆の強さに安心しました。夫をもっと大事にしよう…。

 

いろいろ調べたら、プロデューサーの方が今は「ドクターX」とか制作されている内山聖子さんでした。男社会の中でバリバリ働く女性の気持ちや、ドラマで女性が主人公に言ってほしいこと、よく分かっている方々がつくったんだなあ。均等法第一世代バンザイ!本当にありがとうございます!と思いました。脚本は「ラブジェネレーション」などの浅野妙子さんです。

 

 

さて、そうはいっても、今は観られないドラマの話だけじゃつまんないですよね。最近また「婚外恋愛」が話題になってるの、知ってますか?「1122(いい夫婦)」っていうマンガがあるのです。私は昔から渡辺ペコさんのファンなのですが、とっても楽しみにして読んでいます。

著者の渡辺ペコさんと私は同世代(たぶん私の方がちょっと上)なのですが、とりあげているテーマがいつも「新しくて身近」なことが多いです。LGBTについてもかなり前から漫画に出てきていたし、最近だと、子どもを産むことや老いや死について。年を経るごとにどんどん内容に深みが増していく感じがしています。で、「婚外恋愛(夫婦公認不倫)」です。

 

1122も、経済的にはそれぞれ独立したDINKSの二人が、平穏な結婚生活を送っているが実はセックスレスである。webデザインの仕事をしておりちょっと女子力低めwの一子(いちこ)(35)と、お花が趣味で家事に積極的なやさしい夫・二也(おとやん)。あれ、「婚外恋愛」の二人と似てますね。現代ではこういうカップルが増えているということもありそうだし、テンプレ的な夫婦の「外」を描く方が、「結婚とは何か」と言うテーマに迫りやすいのかな、とも思いました。

 

ここまでの「1122」で、印象に残っているのは、いちこちゃんが体調を崩して、駅から帰れなくなってしまった時に、おとやんが雨の中探しに来てくれるところ。いちこちゃんは実母とおりあいが悪いのですが、おとやんはその二人の間に緩衝剤として入ってくれて、「いちこの実家」もひっくるめて背負う覚悟を持っていること。いい夫ダナーと思うのですが、この先、外の恋愛が、ふたりをどうやって引っ掻き回すのか(ウヒヒヒ…)気になります!そして「1122」でも、「結婚は、どのくらい相手を、精神的に・物理的に縛ることができるのか」「人は、何人の人を責任もって大事にすることができるのか」「子は『かすがい』なのか否か」というようなテーマについて、詳しく描かれていくのでしょうか。

 

 

あと私、こういう作品を観る時、私は「夫/妻がお互いをどう呼んでいるか」にすごく注目してしまうのですが、「婚外恋愛」では、タクは「みつる/お前」、みつるは「タク」と名前で呼んでいました。タク、呼び方だけはちょっと男らしいんだよね。いちこは「おとやん」おとやんは「いちこちゃん」と名前呼びです。

 

非常にとりとめもなくなってしまいましたが、この二作品を見ていて「夫への愛と推しへの愛は別腹」という友人の言葉を思い出しました。「1122」でいちこちゃんの友人が、「性欲(愛情)をどうやって処理しているか」と問われて「岡村ちゃんと犬」と答えていましたが、女性って愛情あふれる生き物ですね。なんだこのまとめ……

現在進行形で読むことができる「1122」をまずはどうぞ!婚外恋愛、もしリアルタイムで観ていたという方がいたら、一度じっくり、キャーキャーと語り合ってみたいものです……!

 

 

 

 

 

1122(1) (モーニングコミックス)
 

 

 

1122(2) (モーニングコミックス)
 

 

 

 

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 つまみぐいをしようとして…

 

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タクにペチッって叩かれるみつる!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2016年のワーキングマザー生活を振り返る

ついに2016年も終わりますね。みなさんはどんな一年だったでしょうか。私が最近すごく感じているのは、自分がどんどん「ワーキングマザーの当事者」から遠ざかっているということです。いちばん悩むのはやはり、仕事復帰1年目だと思うのですが、年を追うごとに子どもは成長し悩みが減っていき、そして、世の中の「働くママ」に対する扱いもどんどん、良い方へ変わっているという風に感じます。けれど私がかつてとても悩んでいた「仕事と育児の両立」についての諸問題が、何もかもすべて解決した…というわけではないし、あくまで私個人が、「最も大変だった時期を抜けた」に過ぎないのだという自覚を持っています。

そこで、今年の年末は、個人的な両立生活(主に仕事面)についての振り返りと、世の中が「仕事と育児の両立」をどう扱ったか、印象に残ったことについて書いてみようと思いました。

 

■「サラリーマンというシステム」に所属すること

 

今年の上半期は、自分の仕事の中で同じプロジェクト内に休職者が出てしまったり、立ち上げのために「未決・未解決」のものをかなり残したまま、業務が走り出すことになったりで、所属する組織、その周辺組織のあり方に疑問を持って過ごしていました。

あんまり細かい業務の話までする気はないのですが、「経営・組織運営は難しい」としみじみ思う一方で、「自分の隣にいる人が、明らかに業務が大変そうとか、調子悪そうにしていることに気付けないなら、私たちには組織で集まっている意味はあるんだろうか?」…という風に思い、一時期すごく悩んでしまったのでした。

私の所属する部署は、プロジェクト単位で仕事が進むので、気をつけないと「同じチームの隣の人が何をしているのか分からない」という状態に陥ります。たとえば「全員業務委託・フリーランスの集団」なら、それでも問題ないのですが、我々の場合は、プロジェクト単位に分かれているといっても、あくまで「組織・チームとして仕事を受けている」のです。

さいきんフリーランスになった夫を近くで見ていると、やはり業務量コントロールにいちばん苦労しているように思います。仕事を受けすぎても自分しか処理する人がいないし、かといって減らしすぎても収入が激減してしまいます。

組織でいることのメリットとは、やはりこの業務量や内容のコントロールがしやすい、ということではないでしょうか。

仕事にはどうしても繁閑の波や、始まってみるまでわからない困難さなどがあります。けれどそういった困難さに対処するために、複数のメンバーで構成されているのではないか?(もちろんそれ以外にもメリットはあるのだろうが)…と、すべてを自分ひとりで負っている夫を見ていて思います。

私が「時短勤務中」といった立場でこのようなことを言うと、「あなたの夕方以降の仕事を誰かが代わってくれればいいってこと?」と言われてしまいそうです。

「あふれた業務を誰かが代わりに処理する」は、いちばん最初に挙げられる方法かと思いますが、サラリーマンというシステムの中で、工夫できることはもっとたくさんあるんじゃないかな、と思っています。

 

たぶん、「マネジメント」って本来はものすごく面倒くさいんじゃないか。仕事が、川の流れのようなものだとすると、その水をどこまで引き入れるか、引き入れた水を誰のところにどう流すか、日々移り変わる流れを見ながら細かくコントロールしなくてはいけない。メンバーの抱える事情とか、価値観、ライフスタイルが違ったり、また変わったりする。社会もまた変わるので、水の量や質、つまり稼げるかどうかも変わる。ただ、昨今、長時間労働とか過労死などで大きく問題視されているのは、「この川の水をえんえん組織に流し入れっぱなしにする」というのはダメなんじゃないのか、それでは労働者はあふれた水に流されてしまうのではないか。ということではないか……と思います。「水流し入れっぱなし」でもなんとなかった時代、「人の管理」がもっとシンプルだった時代があったのかもしれません。でも今はとにかく、そうはいかないのだと、多くの人が感じているんじゃないでしょうか。

 

私は管理職を経験していないのですが、この「めんどくささを引き受ける」人が、子育て中などの事情を抱える人間にとっては本当に「命綱」になるのです。

いまの私はサラリーマンなので、「サラリーマンというシステムがあって良かった」と、そう思える組織、企業、社会とはどんなだろう。ということを、色々と悩み、考えさせられた上半期でした。

 

 

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■ やっと「マミートラックを抜けた」かもしれない8年目

 

今年は「保育園落ちた日本死ね」も話題でしたが、「マミートラック」というワードも話題になりました。マミートラックとは、子育てを理由にその企業における正規のキャリアルートから外され、責任や負荷の低い仕事を「同じトラック(陸上競技における専用レーンのこと)をぐるぐるまわるように」させられ続ける。といった意味を持つワードです。主に母親が陥りがちなので、「マミー」とついています。

私自身の話でいくと、あんまり「正規のキャリアルート」があるように思われない企業にいるので、「同期に比べ出世が遅れる!」と焦る、みたいなことはありませんでした。しかし、とはいえ、「どうも不完全燃焼のような気がする」といった状態が、長く続いていたことは否めません。

日本企業の慣習上は、「責任の重い仕事=長時間労働が必要な仕事」であることが多く、昇進したい・難しい仕事に挑戦したいと願えば「その代わり労働時間は長くなる・夜の業務も発生する・休めない・転勤がある」などの条件がついてくることが多いです。それらは、新しい挑戦を躊躇させるには十分です。「この仕事って本当に、私の力を十分に発揮できるんだろうか」「早く帰れるけど去年と何も変わっていない」みたいな疑念を飲み込んで、「子育て中だから仕方ない」「早く帰れなくなるのは困る」「働かせてもらえるだけありがたい」そう思って、やってきたところがある。けれど今年の後半に入ってからは、そういったモヤモヤがあまりありません。

 

-「やりたい」「挑戦したい」と思える業務であること

- 自分の能力を発揮できている業務であること

- 組織にとっても重要な業務であること

 

今あんまりモヤモヤしてないポイントはこの3つかなと思っています。かつ、それと引き換えに夜中まで残業しなければならなかったり、休めなかったりを強制されることはありません。残業して結果を出しても私はあまり嬉しくないので、労働時間はなるべく短くなるように心がけています。

なぜこれらが今、うまいこと叶っているのか? と理由を考えてみるに……

まずは

 

- やりたいことをずっと(ちょっとウザいぐらい)言い続けていた

&それを聞き入れる組織と上司であった(なので、これという仕事が来た時にふってもらえた)

 

ということがあると思います。「やりたいこと」は、ずっと変わらない要素もあれば、変わっていく部分もあるので、わりかし、こまめに上司と話をする機会を持つのが大事かなと思いました。もちろん「今は家庭の状態から考えて、挑戦できない」と、伝えた時期もあります。

 

あともう一つは、夫が働き方を変えたことが、結局は大きいような気がしています。

いくら「残業を強制されない」といっても、やっぱり「毎日おなじ『ではない』要素を含む業務」というのは、まとまった時間をとって考えたり整理したりすることが必要になります。まあ、要は、週に2回ぐらい残業できると大変助かる、ということです。一時期、私しかお迎え以降に対応できる人がいないので、毎日かならず16時半に会社を出ていたのですが、もしその状態で今のような挑戦をするとしたら、もっともっと努力が必要だっただろう…できないことはないかもしれないけれど、心の余裕は全然ないだろうな私。とは思いました。今は下の子がまだ保育園なので、病気は減ってきたとはいえ、お迎えは必須ですから。

 

今年の秋ごろ、「マミートラック」がNHKのニュースで取り上げられた時、SNSの反応を見ていたら「早く帰りたい、休みたい上に昇進もしたいとか贅沢すぎる」といった声も多かったです。保育園の待機児童の問題もそうですが、マミートラックの「実体」がリアルに想像してもらえるようになるには、まだしばらく時間がかかるのかなと思っています。

 

「『早く帰りたいけど昇進もしたい』と言っている母親」と、

「『子供のお迎えができる時間に帰宅したい。だが仕事ではこれまでどおり、自分の能力を磨き続けて、ずっと切磋琢磨してきた同期と同じように成長したい』と言っている母親」

って、まったく別人のように聞こえないでしょうか。

 

また、

「子どもがいるし、大変な仕事はもうしたくない。定時で帰りたい」と

「『また休み?』と言われる度に、いたたまれない気持ちになった。夫が夜遅いので、昇進して夜の業務を任されても対応できない。昇進試験を諦めるのは仕方ない」

というのも、まったく別人みたいですよね。

後者は、私の友達から聞いた話……だったりするのですが。

 

学問的に労働問題に取り組んでいる方々の世界にはすでに、「過剰な配慮」とか「意欲の冷却」とか、そういった言葉が存在しています。

2017年は、せっかく注目されるようになった「マミートラック」が、このようなワードの助けも借りて、ざっくりしたイメージでなく「実体」に近づいていく一年になればいいと思います。

 

ワーキングマザー歴8年目にして、じわじわマミートラックを抜けつつある私。また来年は「3歩進んで2歩下がる」みたいなことも、大いにありえると思っています。それでも、いまモヤモヤしている人には、「だいじょうぶ。いつか自分が納得いく『仕事と子育ての両立』にたどり着けると思うよ」と、言いたいと思うのでした。わたし来年もボチボチがんばりますので、一緒にがんばりましょう。

 

 

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