kobeniの日記

仕事・育児・目に見えない大切なものなどについて考えています。

AERAが今度は、育休明け時短ママをいじめています

前回の「AERAさん、働くママをいじめないでください」の記事でたくさんのブコメを頂き、なるほど最近のAERAはむやみに女性内を対立させる記事をつくり、その理由は場当たり的に部数を伸ばしたいからに他ならないと納得した私。なんだよ「カレーやないで、ハヤシやで」の頃から愛読してきたのに、もう買ってやるもんか!プンプン!と憤っていたところ、KYなダンナが「今週も買ってきたよー」と小林麻耶のゆれるセミロングが悩ましいAERA6.22発売号を私に手渡した。


さすがに前回の今回なので、まさかねぇ、と思いながら目次をながめる。「特集・ユニクロの女子力」うん、いんじゃないですか?確か「ブラトップ」も女性が開発したんだったよね。「村上春樹1Q84秘密作戦で100万部」あ、これ「アイキューハチヨン」って読んでたおばさんが本屋にいたよね。「ヌクヌク社員の育休KY発言うんざり」あー、それって育休中にヌクヌクとブログ書いて「目指せホッテントリ☆」それなんて私ーーーーっておい!(ノリツッコミ)なんだこれは。ケンカ売ってんのか。思わず夕食に食べていた、めかぶを吹き出しそうになったことは言うまでもないですが、前回同様カンタンに説明すると、『育児休暇明けの短時間勤務に腰を掛け、お茶汲み、コピー取りなどのユルい仕事(って書いてある)しか引き受けず、しかもそれを独身総合職女性に残務処理させるような、ちょっとアレな働くママが増えているよ。』ということだそうです。


ズルズルめかぶを飲みながら、頑張って最後まで読んでみたのだが、やはり今回もこの記事の目的が全く分からない。正直、ママさんたちに伝えたいことが見つからない。しかしAERAは曲がりなりにも大手新聞社がつくっているわけで、ここまで「中身がない」と言い切るのは若干失礼だ。なので、私なりにこの記事のコンセプトがどこにあるのか、想像力を駆使して考えてみた。



1 実はナナメ読みすると「ダイバーシティ万歳」と書いてある


2 後ろの方の記事に載っている勝間さんが正解を言っている


3 続きは小町へ



3が一番有力なように思ったが、小町は読売新聞だし、いまのところトピは立っていないようだった。




■問題は、個々の働くママさんではなく企業やマネジメントにある


このままだとあまりに内容が無さすぎる。なので、ひとつだけネタにマジレスする。この記事の背景として、2005年の法改正で契約社員などの有期雇用者にも取得権利が広がり、育休を利用する人が大幅に増えている、ということがある。


AERAがこの記事でターゲットにしたかったのは、そういう、新たな育休取得者のせいで迷惑を被っている同僚たちであろう。つまり「そうそう、最近の働くママってホントKYよね」という共感を狙ってのこと。休暇取得者に問題を帰すような記事の書き方だ。がしかし本来、AERAのような雑誌がやるべきは、そんな井戸端会議以下・小町以下のことではなく、「育児や介護のための休暇取得者が増える中で、職場でどのようにスムーズにワークライフバランスダイバーシティを実現していくのか」という前向きな解決策の提示ではないのか。


この記事をよく読んでみると、出てくる職場がなんか、おかしい。例えば冒頭のように

「短時間勤務のママたちがやり残した仕事…(略)…コピー、お茶汲み、会議室の予約、回覧板のチェック…」


そもそも、こんな仕事を特定の人間、女性にやらせている職場は効率が悪い。自分のお茶は自分で汲めばいい。


コンサル会社で、ある女性を「育休切りした」というユキさん(42)の職場はもっとひどい。

「繁忙期になると社員総出で徹夜する。最大の不満は…(略)…不公平感だった。…ラクしている人がいるとモチベーションが下がる、というのだ。…ユキさん『フルで働けて将来性のある人に人件費をかけたいのが本音。妥当な判断だったと思います』」


草食系男子もビックリの職場である。それともユキさんは、常に若々しい肉食系男性社員を抱えていたいのか。そりゃ、よしながふみの「大奥」か。人材教育の観点から考えても、しょっちゅう女性を切っていてはものすごい無駄が多いだろう。


法律だからといって、いままでの職場にただ育休の制度だけを導入すれば、この記事のように単に不公平感を生むだけに終わる可能性もある。いわゆる「ワークライフバランス」や「ダイバーシティ」を、その企業の業績に寄与するよう進めたければ、同時に評価制度や業務効率も見直すことが必要になる。その手間や努力を惜しむ企業は、永遠に「ブランクが発生する女性よりも若くてフルで働ける男性」といった考え方で思考停止する。少子化が進み、労働力として女性の活用に踏み切る他社が多い中、こうした企業の採用力は相対的に下がり人が足らなくなり、そこにいる男性陣はフルどころかサービス残業が常態化する、抜け出せないバッドスパイラルが待っている。




■育休明けに「腰掛け」になる人間は、育休前から「腰掛け」だ


ワークライフバランス」というのは、即時に結果が出るものじゃない。短期的には、いま雇用している女性の離職防止といった効果に限られるかもしれない。だが中長期的には、企業のイメージアップ、新卒の採用力向上、多様な人材の確保とそれによるサービスの向上、組織全体の業務の効率化など様々なメリットがある。
国としても「仕事と子育ての両立」を支援する方向に動いているし、(育休法改正案が成立へ 与野党、修正で合意 - 47NEWS(よんななニュース))既に大手企業は積極的に職場改善をはじめている。


いろいろ考え方はあろうが、いまこの流れに逆らうことには、かなりリスクがあると思う。というか、「女性も男性と同じように働き続けられる方がいい」「育児や介護などで休んでも、離職しなくて済む方がいい」って、「そりゃそーだよね」っていう類のことだ。「雇い主の考え方ひとつ」なんて言うが、ここまで自明のことに躊躇するオーナーというのは、どんだけ頭でっかちなんだろう、と思う。AERAに出てくる職場からは、そんな匂いがしたが。


もちろん、育休利用者の方にも心構えが必要だ。このAERAが叩いているように、「権利だけ利用して会社から見るとただのお荷物」、そんな存在にはなりたくない。だが、育休明けに「腰掛け」になってしまうような人間は、おそらく育休前から「腰掛け」なのだ。つまり、「休んでも戻ってきてほしい、お前にしかできない仕事がある、と思わせるような人材になれ」という日頃のマネジメントが重要で、それは取得者本人というよりもやはり、会社や上司の努力の問題であると思う。





ああ、こんな風に毎週AERAの記事にもの申し、結果的にAERAの売上を上げることになってないのか、このブログ。しかし、どうせ毎週やるならサザエさんがよかった。残念ながら私にはid:matasaburoさんのような高度スキルはないので、もうこんな胸騒ぎのする記事を書かないでもらいたいと切に願いながら、筆(実際に筆で書いているわけではない)を置くことにする。