kobeniの日記

仕事・育児・伏し目がちなメガネ男子などについて考えています

「働くママは、権利ばかり主張して義務を果たさない」?

こんばんはkobeniです。しばらく更新しない間に、ホントに寒い季節になってしまいました。わたくしブログを書く時は、けっこうな時間をかけているのですが、それよりも5分で書いたハイクの方に、スターが倍くらいつく「はてな」という場所は本当に奥が深いですね。はてなにお勤めの皆さんの今年の冬のボーナスは☆で言えばなにスターなのでしょうか。



きょうは、常々気になっていたことについて書いてみます。私は法律のプロではないので、もし間違った事を書いていたら、すみませんが指摘をお願いします。


働くママをやっていると、どうも今回のタイトルになっている言葉をよく聞きます。ちなみに自分が直接言われたことはなく、他の私と同じような立場の人を非難する言い方として聞くことが多いです。


この場合に話者が想定している「権利と義務」というのは、「賃金を得る権利・各種制度(育児休暇や、時短勤務制度、残業免除など)を利用する権利」&「労働の義務」だと、私は認識しています。ニュアンスとしては、まず義務を果たした上で権利を得よ、といった感じで使われているように思います。


ただし、よくよく考えてみると、そもそもこの「権利と義務」が、労働法や、会社の就業規則上で、対になっている(→義務を果たさなければ権利を行使できない、と言った意味で)かどうかは、不明瞭な場合が多いのではないでしょうか。
少なくとも私が、育児休暇や残業免除等について育児・介護休業法を調べた際に、「ただし○○といった義務を果たしている場合に限る」という風な説明は見たことがありません。(もちろん「ただしイケメンに限る」も見たことがないとおもう)


しかも、仮に上記の通り「義務を果たさなければ権利を行使できない」に則ったとしても、この言い回しが使われている時というのは、非難されている働くママが、義務を果たしていないのですらない場合が多いと思うのです。


私が見聞きした範囲で、どういう意味で「働くママは、権利ばかり主張して義務を果たさない」が使われていたか。3つほど思い当たります。




1. 今までに誰も利用しなかった権利を主張された(義務は関係ない)



例えば、時短を利用されるのが初めてで、とりあえず制度は導入していたが、まさか本当に利用されるとは思わなかった…というケース。時短を使えば当人は、それまでよりパフォーマンスが下がる(下がらない人もいると思いますが)ことは予測がつくのですが、それに対し何らかの手を打っていないと、売上低下や他メンバーの業務過多になってしまいます。経営や人事は、それが困るので「権利ばかり主張して…」というのですが、大抵は内心、(時短前と同じパフォーマンス=義務を発揮できるわけないんだけど、してほしい、だって何も手を打ってないから)といった感じなのではないでしょうか。


それまで誰も使っていなくても、そういった権利が存在するならば主張するし行使しますよね。それに、時短勤務者が、時短前と同じ、ないしは他の従業員に全く劣らない業務量をこなすのが「義務」というのは、「義務」を捉え直すなど工夫しない限り、やはり無理があるのではないでしょうか。それならば、はじめから時短の労働時間で済ませてると思いますし。



2. 堂々と権利を主張・行使する態度が気に喰わない(義務は関係ない)



これは、転勤や残業を断れない代わりに正社員の雇用を保証する、というような、日本的な企業の在り方の延長にあるのかもしれませんが、「労働者は健康やプライベートにまつわる権利というものは基本、行使しないでおく」のが常識だという考え方でしょうか。ですから万が一、育児休暇や時短等を利用するのは、就業規則には書かれていない「空気」を読んでない事を意味し、「ご迷惑をおかけして本当にすみません」と何度も謝りながら、申し訳なさそうに行使しなければいけないのだと。

子供が熱を出した時など、自分の仕事を代わってもらうこともあるだろうから、そういう時にはもちろん、「申し訳ありません」と礼を尽くすことは大切だと思います。ただし、権利を行使すること自体を「申し訳ない」と思う必要は全くないのではないでしょうか。


そもそも、社員に「人と違う働き方をしている私って、存在が迷惑なんだ…」と毎日思わせながら働くことが、会社にとってメリットなのか?それは本来、その制度導入の目指すところだったのか?という話かと思います。



3. あの人が権利を主張・行使すると私が迷惑だ(義務はたぶん果たしてないと思う)



実はこれが一番多いんじゃないかと思うのですが…。
育休あけの同僚に納得いかない : キャリア・職場 : 発言小町 : 大手小町 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
例えば↑こういう人が言った場合。


時短や育児休暇を利用している人自身は、「この仕事をするので、この条件(お給料や勤務時間など)でお願いします」という「権利と義務」を、経営側と契約を交わし、それをつつがなく実行している場合でも、周囲の人はその「権利」と「義務」の内容を知らないまま、自分に仕事が降ってくるというその一点で「義務を果たしてない」と言っている。


これは本来、責められるべきは、マズい仕事の振り方をした側ですよね。例えば時短者を受け入れるなら、チームや課全体の生産性を上げて、時短者ができない分の仕事を配分してもパフォーマンスが落ちない(むしろ上がる)ようにする・人員に余裕を持たせる等の工夫が必要です。それを経営・管理側だけで考えるのが困難なら、せめてママさんと共に考えていけばいいと思います。


また、この「仕事の振り方の不公平」については、こちらのブログにありますが、
ワークライフマネジメント特論3回目・4回目の感想 : 今様枕草子
何故か育休や短時間勤務の女子社員の仕事は、「残された『女子』社員に振り分けられる傾向がある」のだそうです。そういう分担方法をまず見直してみてほしいです。また、単なる妬みというケースには、ワークライフバランスは、介護という形で必要となる可能性があり、誰に取っても他人事ではないのだ。と説明すると良い、という風にも書いてあります。



ここまで書いてみて、「働くママは、権利ばかり主張して義務を果たさない」の意味するところは、つまり「その権利を主張し行使するのはやめろ」ということだけじゃないか、という気がしてきました。twitterで、id:WinterMuteさんともこの件について会話したのですが、「権利」と「義務」は必ずしもセットではない場合もあるのに、セットのように語り、「相手の欲求を突っぱねるテンプレートになってるだけ」(WinterMuteさん)なんですよね。
もしあなたが、「権利ばかり主張して義務を果たさない」と言われたら、驚いたり、傷ついたりする前に、今一度問うてみてください。

その義務は本当にその権利とセットになっているのか
その義務は本当に従うべき義務なのか


「義務を果たしてからものを言え」 - ykr


最後に。
おそらくこのエントリを見て、やはり私が「権利ばかり主張する」「理想論のみ語る」労働者だ、と思われる経営者や人事等の方々もいるのではないでしょうか。確かに、今は不況で、人材活用どころかリストラしたいというのが本音のご時世かもしれません。

多様性やワークライフバランスを、長い目で見て企業の強みにするつもりがないのなら、形だけ導入するのは、労働者にとっても会社にとっても損なことです。ただ、もしも前向きに考える余地があるのなら、限られた人材(これからの少子化の時代を乗り切るための貴重な人材)の能力を、最大限活用するのは得なことだ、と考えてみてください。多様な人が社内にいることは、長期的にはプラスなはずです。ただしそのためには、硬直した労働スタイルや、評価の方法を根本から見直す必要が出てくると思います。


ただ制度を導入するだけでは上手くいきません。それまでのマジョリティと違う働き方をしたい・それしかできない人を受け入れるということは、「平等に扱う」だけではダメで、「マジョリティと同じようにできない部分をケアする」ことが必要なのです。
…というのも、もう何度も書いているような気がしますが。




(働くママさんで、おかしい!と思ったら、
こういう所に相談してみるのもいいかもしれません。
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必ずしも、いつも周囲や会社ばかりが正しいとは限らないし、仮に一時的に辛い思いをしたとしても、あなたが会社に残りイキイキと働くことが、少し長い目で見れば、その企業にとって利益になる可能性も、大いにあります。もちろん、無理してその会社に残らなくてはならない、ということもないと思います。)