kobeniの日記

仕事・育児・目に見えない大切なものなどについて考えています。

東京・八重洲の「ふくしまショップ」が混んでいる

こんにちは、kobeniです。先日、ちょっと東京を離れる機会があって、西の方へ行ったのですが、後から思い出すと、どうもネオンばかり見ていた自分に気がつきました。いまみたいに、街が薄暗いのはちょっと寂しいけど、月がキレイに見えるので、保育園の帰り道に、息子がお月さまを見つけやすくなった気がします。



さて、きょうは私が、仕事の合間などに時々通っている、東京の「ふくしまショップ」の今について書きます。
ふくしまショップは、呼びやすいので私が勝手にそう呼んでいるだけで、正確な名前は「福島八重洲観光交流館」(サイトはこちら。アクセスも載ってます→
http://www.tif.ne.jp/jp/sp/yaesu/)です。東京駅・八重洲口から徒歩5分くらいの場所にある、いわゆる「アンテナショップ」です。売っている物は、お菓子を筆頭に、味噌や漬け物などの保存食、ラーメンやカレーなどの食品が主です。その他にもお酒、ジュースなどの飲み物、箸やお皿などの伝統工芸品もあります。また、福島各地の観光地のチラシ・パンフレットや、地図なども常備・貼り出しされています。
私が観察する限り、震災直後から少しずつ混み始め、4月の頭には、通常は販売していない生鮮品(福島産の野菜や果物)を売るフェアもあり、その日は店の外まで行列ができたようです。TVでも中継されていました。
「震災で被害を受けた地域を応援するために、アンテナショップへ行こう!」という動きは、3月中旬頃から都内でも起こっていました。そして、「一過性のブームで終わってしまうのではないか」と、懸念する声も同時に上がっていました。しかし、4月も下旬にさしかかりますが、八重洲のふくしまショップは「まだ」混んでいます。具体的にどんな様子なのか、レポートしてみます。



■  仕事帰り、仕事のついでにお買い物 スーツ姿の人も 

どんな人が買いに来ているか?ですが、東京駅周辺はオフィス街ということもあり、やはり駅周辺の会社に勤めている方が多く来店しているように思います。ランチタイムちょっと過ぎくらいに行くと、手ぶらのOL風の女性などもおり、かなり混んでいたりします。もちろん、おじさんおばさんもいますが、若い人も多く、男女は、半々くらいだと思います。
来店の動機は、やはり「なにかの形で支援したい」が一番多いのではないでしょうか。こちらのブログ福島県八重洲観光交流館を見ると、そういったコメントが寄せられていますし、お店では、福島県災害対策本部に送られる義援金も、かなり集まっているようです。
これもブログのコメント欄からの類推ですが、「福島になんらかの縁がある人」や、「福島から避難して来ている人」もお店を訪れているような気がします。「これ、美味しいんだよねー。こないだまで無かったんだけど」と嬉しそうに解説する人も見たことがありますし。
ちなみに、「東京の人間が、福島の名産品まで買い占めてるらしいぜww」みたいな見方も一部あったように思いますが、少なくとも私は「買い占め」的な行為(一人で大量に買っていく、入荷が少ないとゴネる)をする人は、今のところ見たことがありません。というのは、当たり前ですがここ一ヶ月、ふくしまショップは商品を揃えるのにかなり苦労していたように思います。やはり震災直後は非常に品薄で、ホントに何もない…という日もありました。そういった品薄の時も、入荷直後で品数が豊富な時も、来店している人は皆「それなりに」粛々と買い物をしているなあ、という印象です。*1



■ すぐ売り切れるのは「ままどおる」と「ゆべし」

「品薄の時もある」と書きましたが、入荷されるとすぐさま売り切れている商品が「ままどおる」と「ゆべし」だと思います。私はここ最近、ままどおるをお店で見たことがありません。幻のままどおる… まあ、それだけ人気だってことですよね!
また、生鮮食品フェアもかなり盛況だったようなので、これから「桃」が入荷されたりしたら、あっという間に売り切れるのでは?と思ったりします。

ままどおる三万石のままどおる: トモくまのメモログ
(公式HPはメンテナンス中)
ゆべしまごころに おいしさ咲かせて かんのや|家伝ゆべし(かんのや)



■ 名産品販売だけでなく「情報のアンテナ」ショップに

震災や原発事故で、東京に住む人が福島へ行く・帰省したり、逆に福島の人が東京へ避難する、といった事態も発生しているため、日々変化する交通事情をふまえて、ショップでは福島〜東京間のアクセス方法を案内しているようです。壁には交通マップが貼ってあるし、HPのトップページにも「必要な方へはコピーのお渡しやお電話でのご案内もしておりますので、お気軽にお問い合わせ下さい。」と書いてありました。
また、店内には「福島民報」と「福島民友新聞」が置いてあります。(平日のみ。13時頃にその日のものが届くとのこと)店内の奥のスペースで読めるので、熱心に読んでいる方々を見かけました。
ふくしまショップのブログに、「東京に避難している方、お店へ来てみませんか」という過去記事がありました。慣れない土地・東京で、郷土の物を目にしたり、地元について話ができるだけでもホッとするだろうし、そういうなごみスペースにもなっている、ということでしょう。とにかく、今のふくしまショップは、いつもより、そのカバー領域を広げて営業中なんじゃないか?少なくとも私には、そう見えます。


震災がきっかけというのは、もちろん喜ばしいことではないですが、これまでよりも「存在感のある場所」になっているのが、今のふくしまショップだと思います。そもそも、福島はいま観光客が減少しているはずで、その代わりに別の場所で、通常現地でおみやげに購入されていたような名産品が売れるのは、かなり喜ばしいことであるし、それこそ製造元の存続にも関わるのではないか?今後の福島県の地域活性の方法はわかりませんが、少なくとも今は、アンテナショップが盛況なのに超したことはないと思う。
そこで、まあどう考えても大きなお世話なのですが、このまま存在感のあるショップであり続けるためには、どうすればいいのか、ちょっと考えてみました。



■ 今こそ「新商品」をつくってほしい

いま、ふくしまショップで物が売れているのは、いわゆる「応援消費」というやつで、作っている人を支援したい&その物自体が好きである、という動機に支えられていると思います。しかも、その「支援したい」の割合が非常に大きいという、かなり特殊な購買動機によるものです。「ブームで終わらせたくないよね」はその通りなのですが、本来、消費行動としての「ブーム」は、特段悪いことでもないはずですし、「作り手を支援したい」という動機がなくても、その物自体の魅力で、売れるものは売れる、というのが一般的な消費というものだと思います。
自分が仕事でつくった商品などを、「知り合いだから」というような、おつきあいが動機で購入してもらうことって、ありますよね。でも、ああいうのって、長続きしないと思いませんか。やっぱり、その商品自体に魅力を感じてもらってこそ、売る方も対等な気持で商売できるというものです。「消費者は、マスコミが報じなくなったら、興味を失うだろう…」と、責める論調もありますが、そもそも人が、「飽きる」ことを防止するのは、非常に難しいことだと思います。それだけ、「毎日はせわしない」し、「目新しい・類似した商品は次々、登場する」からです。
だから今こそ、新商品をつくってもらいたい。いま買いに来ている人たちは、「長く期待したい」「飽きたくない」と思っている気がします。「震災や原発で大変だから買う」という、若干おつきあいのようなもの?も含んだ動機から、「ここの会社の、お店のファンだから、単に商品が好きだから買う」という動機に、この先、自然に移行できるようにするには、たとえば新しい商品を作ってみたり、セレクトしたりしていくことで、魅力を保ち続けるのがと思います。(もちろん、定番商品が悪いというわけではありませんよ。)



■ 安全性を根拠と共にわかりやすく伝えてほしい

福島県では各地の放射線量がHPに掲載されているみたいですし、*2たとえば南会津町と飯舘村では、当たり前ですが時間当たりの線量も全然違います。地元の方は、福島県ということで十把一絡げにするな、と思われていることでしょう。売っている商品は野菜等ではなく加工品ばかりですし、心配しなくても良いのかもしれませんが、やっぱり安全性については、ハッキリと明言していった方がいいと思います。売っている商品のHPに行ってみても、放射線のことは特に触れていないページが多いです。ここは、自信を持って検査方法や、計測結果を公表すればよいのではないでしょうか。あるいはお店でも、掲示やチラシを配るとか。いまお店に買いに来ている人は、「データ的な根拠なしに、風評を煽るようなことはしたくない」と思っている人たちだと想像します。だからこそ、具体的に情報を開示するのが良いと思います。まあ、私が子供を持つ親なので、ちょっとナーバス気味なだけかもしれませんが…

ちなみに宅配食材のOisixはこんな感じで報告している
Oisixの青果物等の放射線量測定について|有機野菜などの安全食材宅配 Oisix(おいしっくす)



■ つくっている人と買う人を積極的につなげる

さきほど「応援消費」と書きましたが、消費する側が、今ほど「つくっている人の顔が見たい」時はないと思います。ほんとうは、見返りナシに支援するのが筋だとは思う…思うのですが、やっぱり「よろこんでくれている人の顔、声」が見えたら嬉しいのが人間、だとも思うのです。
できればひとこと、応援メッセージを伝えたい、そのためにわざわざ遠くから買いに来た、けど恥ずかしいし迷惑かな…と、必死でガマンしている人もいる気がします。お店にいると、そういう「気持」が行き交っているのを、なんとなく感じます。ビデオレターでも、店内での寄せ書きでも、もうなんでもいいので、ああいう「受け取りたい、伝えたい」という気持を解放してあげると、さらに良いのではないでしょうか。※フェア等で、地元の方が店に来ていると、みんな会話してて、ああいうの良いですね。



■ 「東京駅」という立地を活かす

東京駅って、「街」さながらの場所になっているのをご存知でしょうか。駅構内や地下街には、まるで百貨店のように、洗練されたお店が立ち並んでいます。
GRANSTA(グランスタ) | 東京駅エキナカ/TOKYO STATION CITY  東京駅が街になる Tokyo Station City
中でも「てぬぐい」ショップや、和小物のお店が目立つのはどうしてだろう?と不思議に思っていたのですが、これはやっぱり東京駅が「玄関口」だからなのでしょうね。地方から来る方だけでなく、外国人の方も、多数往来するターミナルでもあるのが、東京駅なんだよね、ということです。
今後は日本人だけでなく、外国人の方にも楽しんでもらえるようなショップにしていってはどうでしょうか。まあ、ベタなアイデアですけれども。
あと、駅弁とか売ってくれると、主にランチタイムの私が喜びます…



とまあ、偉そうにつらつらと書いてきましたが…
私自身は、福島にそんなに縁があるわけではありません。ですが福島産の桃とか、紅葉漬けとかは、頂いて食べたことがありました。今、ショップでそれらを手にすると、やっぱり少し思うところはあります。今回、記事を書いて、福島の製造者の皆さんに、「これらの『いつも通り』の名産品たちを作ってくれて、ありがとうございまーす!」ということをお伝えしたかった。今日も美味しいです、いつも通り。また作ってください。そして毎日、忙しそうなショップの店員さんも、お疲れさまでございます。それから福島出身の方や、福島県民の方、ホントに気苦労が絶えない日々だと思いますが、応援している人もいるので、なんていうか絶望しないでください。そして、アンテナショップのような場所を、できれば今後も活用してもらえたら、福島「県外」の人間としても、嬉しく思います。
東京のふくしまショップは、きょう(4/25もホントに混んでました。猪苗代フェアやってます)も混んでますよ!





※おまけ
私がお店で買ったものをちょっと紹介しる


「紅葉漬け」


秋のもみじのような、赤とオレンジの色づかい…入っているのは「サーモンといくら」と、なんだかちょっと欧風テイスト。「鮭を独特の加工工程を経て糀と漬け込み、生の状態で食べる」という昔ながらの伝統製法でできている。味がしっかりついてて、食べ始めると止まらなくなります…

HPに、「かりっと焼いたフランスパンに(紅葉漬を)のせて、白ワインで・・・」と書いてあったのですが、想像するだけでよだれが出てくるので今度やる。



福島紅葉漬株式会社
「弊社は再生福島のための頑張る精神!のもと、社員一丸となり工場内復旧に努め、通常操業を再開いたすことが出来ました。今後とも変わらぬご愛顧の程、宜しくお願い申し上げます。」
福島名産 阿武隈の紅葉漬



「aQuaizu」「awa心水」



「福島県奥会津地方。その山懐に抱かれた金山町は『妖精の里』とも呼ばれています。」そんな地で作られている天然の炭酸水です。ペリエみたいなやつね。日本では「(飲用の)炭酸の温泉」って超レアなのだそう。

外国の炭酸水って、ちょっと炭酸がキツくて、「舌が痛いよ!」という時があるのですが、aQuaizuは炭酸の主張が控えめで奥ゆかしく、まるで日本人のようです…。




株式会社ハーベス
(別のお店で目にした製造元からのメッセージに、
「放射性物質の検査も毎ロット行い、安全性を確認してお届けしております。」と書いてありました。)
奥会津で採水された国産天然炭酸水、aQaizu(アクアイズ)はハーベスへ。クセがなく美味しいミネラルウォーター


あかべえ

なんかショップ内のいたるところに、赤いリサ&ガスパールのみたいなのがいるぞ…とおもったら、「あかべえ」だって。きゅうべえじゃないんだからねっ!「会津若松の民芸品『あかべこ』から生まれたキャラクター」だそうです。ちょっと会津の方、あかべえ好きすぎなんじゃないの…



立ってるし…


電車になってるし…


あかべえのチーズサブレは美味しかったです。
ちなみに、ふくしまショップの店頭にも、でっかい赤べこが居ますよ。



※参考

福島産の野菜、ネット販売では人気のようです。
アンテナショップでの動きも、これに似ている気がします。


丁寧な福島のお菓子の案内です。ショップでは「もちずり」も売ってたよ。
こんな時だからこその福島の銘菓情報 - wHite_caKe

*1:「ままどおる」などはホントに人気なので、事前に個数を伝えて、取り置きを頼むこともできるみたいです

*2:http://wwwcms.pref.fukushima.jp/pcp_portal/PortalServlet?DISPLAY_ID=DIRECT&NEXT_DISPLAY_ID=U000004&CONTENTS_ID=23853